15-06-13《半透明ポリゴンの描画順問題[発動篇]》

元記事:https://archive.md/9oQZR

作成者:不沈空母様

ニコニコユーザーページ:https://www.nicovideo.jp/user/1942311

作成日:2015-06-13 19:00


今回は前回の続きで、厄介な半透明ポリゴンの描画順問題を逆に利用したテクニックをご紹介します。


・半透明オブジェクトの輪郭線

まずは、テクニックというか描画順問題が時にはメリットを生じると言う一例です。

前々回の輪郭線ポリゴンの記事を見て(ちなみにこの手法は「背面法」と呼ばれているそうです)、「コレ透明なオブジェクトじゃ使えないんぢゃねーの?」と思われた方も多いのではないでしょうか。ホントに1万人も見たのならきっといるw 確かにせっかくアルファや透明度設定で半透明にしたポリゴンも、普通に考えれば向こう側に輪郭線ポリゴンが見えるだけになってしまいます。

しかし、本体より輪郭線ポリゴンを後に描画してやれば、輪郭部分にのみ表示されるので問題なく半透明が表現できます。描画順問題様様ですw

【左】半透明オブジェクト

【中】輪郭線ポリを先に描画するとオブジェクトの向こう側に見えてしまう

【右】後で描画すれば輪郭部のみに表示されて問題なく半透明が表現できる


MMDの自動輪郭線は(これを考慮したのかどうかは存じませんが)本体ポリゴンの後に描画される仕様になっている様なので問題ありません。


続いて、描画順テク(勝手に命名)を幾つかご紹介します。静止画では分かり辛いのでサンプル動画を用意しました。

BGM:「【みくれれ】帝国のマーチ」 sm6435475(ちぃふぁ(みくれれP)様)


・どこにでも行けるドア

扉を開けると全く別の空間に繋がっているという例のドアです。

仕組みは実に単純で、ドアにはマテリアル設定で不透明度[0.01]にしたポリゴンを嵌めてあります。以下「半透明ポリゴン」は全て同様です 自室の壁をドア本体より後に描画する事で、壁の向こうに配置したミクさんや部屋が見えるという塩梅です。ドアの後ろ側は自室の空間があるので何とも奇妙な見た目となります。

一発殴られるくらいでミクさんの着替えが見れるのなら安いw


・バリアー

[だよー の あくしゅうこうげき を ゆきみくが ばりやー で ふせいだ!]

雪ミクさんを半透明ポリゴンの球で包み、煙エフェクトをその後に描画する事でバリヤーに防がれている様に見せています。バリヤーのアウトラインは先述の輪郭線ポリゴンをAutoLuminousエフェクトで光らせています


・テレポート

寿命を著しく縮めるので使いすぎに注意しましょうw

これもやってる事は極めて単純で、下図の様な半透明ポリゴンを用意して雪ミクさんの前で上下に動かしてるだけです。もちろん雪ミクさんを後で描画です。










テレポート用半透明ポリゴン(後ろのグレーポリゴンは表示用ダミー)


ただし、よく見ると地面の影が消えていません。中途半端に消えられても困りますがw 標準の陰を消して影エフェクトで濃度調整するか、手っ取り早く足元を見せないとかで対処しましょう。


・透視メガネ

…本来、コレが今回の目玉になるハズだったのですが、では何故サンプルがこんなにショボい出来になってしまったのかと言うと、考えてみればコレをやるには、着衣モデルと完全にシンクロできる下着or水着モデルを用意する必要があるからです。

今回は厚着気味のミクさん水着ミクさんをお借りして、後者を加工してトルソーにして重ねて表示したのですが(物理干渉防止のため剛体/ジョイントも抜いてます)、透視できる範囲が限られる上にウェイトが必ずしも一致していないので固定ポーズがやっとで動かすのは無理でした…orz

着衣モデルと水着トルソーを重ね、描画順テクでトルソーのみ表示


まあ、こういう使い方もあるという事でひとつ。あまり簡単にできて悪用されるのも困るしw


とまあ、厄介者に思われがちな描画順問題も色々と面白い使い道があるのがお解かりいただけたと思います。

しかし困った事に、ニコニ立体のビュアーではこの描画順テクが使えない模様です。という事で次回はニコ立の話題を。


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